どうも、びるです。
今回は「ヤングケアラーとは誰か」著:村上靖彦 を読んでの感想と自分まとめです。
結論から言うと、とても良い本でした。
理由としては、具体的な手法というよりは「ヤングケアラー」への関わりのマインドを教えてくれるもので、対人支援・若者支援のベースとなり得る内容であったこと
また、「ヤングケアラー」という記号の持つ意味と記号への対応策、その言葉について当事者たちのインタビューを通して、生々しい思いとそこからの気付きを得られるものであったこと
社会構造が生む責任の所在が個人となることにより、声を上げられない人に皺寄せが行く社会に対して、ソーシャルワークをしていく必要性を強く認識させてもらったこと
が私には大変に染み入り、また児童分野での仕事にも興味を持たせてもらえる本でした。
構成
本の構成としてはヤングケアラーに当たる子どもたちへインタビューされ、そのインタビューからヤングケアラーの孤独、SOSの出せなさ、葛藤、罪悪感などを読み解き、読者にわかりやすく還元してくれている。
1〜7章まではインタビュー、8章、終章で全体のまとめとヤングケアラーの解説がされており、
おすすめとしては8章,終章を読んでから、最初から読み直すと一層、ヤングケアラーの困難と持つ力についてなどの理解が深まる。
ヤングケアラーとは
私も誤解していたが、この本ではヤングケアラーとは身体的介護や家事労働をする子どもである前に
「家族を気遣う子ども」なのである、と書かれている。
ケアは気遣う、心配するという意味を持っており、子ども自身は負担を感じながらも家族を心配している。そんな中ヤングケアラーという記号を付けられることで、子ども自身が抑圧された存在で、家族が悪者になるという構図ができてしまうことに抵抗を示す子どももいる。
これは「虐待」の構図ともよく似ているように思われ、家族を悪と捉えようとするうごきがあり、本質的な支援に繋がらない。
まず、気付くこと
ヤングケアラーに出会ったときに私達、大人が大事にしたいことは、
この子どもはヤングケアラーの立場にあるのではないか、という気づきを持つこと。
気付けないと、その枠組での支援を導入できず、手立てが打てないためである。
そして、できること
対人援助職でない場合は、どこに相談すればよいか、わからないと思われるが、親身になって子どもの話を聞くことはできる。子どもに寄り添うことはできる。
表面上の「大丈夫?」ではなく、事情を聞いて理解し、なにか自身から湧き出てくる言葉をかける。
まずはそれから始めていきたいと思った。
専門職である私は、事象に対しての適切なサポート先に相談したり、チームで取り組む方法を考えていく必要もある。
誰にも居場所が必要
自分の思っていることを安心して表現できる、口にできる場所がないと人はどこかで潰れてしまう。
ヤングケアラーは自分の思いを語ることができず、語っていいものか・SOSを出す内容なのかも判断つかず、でも、ただただ「しんどいな」と重荷を背負って毎日を生きている。
その荷物を一緒にチェックしたり、しんどさを話しても良いと思える場所を社会が作っていく必要があると考えさせられました。
高齢領域でも、精神科領域でも知っておくべき知識と内容が詰まった本でした。
今後、もう少し読み解いて行こうと思います。
ではまた。
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